偽双子｜彼女と、別の彼女について。Part4
私はふたりいるときもある。
ひとりになるときもある。
ふたりでいるのは楽しいし、怖いときもあるの。
ふたりいる？
昔、異国にいた頃に知り合った女の子はそう言った。
その言葉に取り憑かれてしまった私は、AI画像で〈ふたりいる彼女〉画像生成に励んだ。
彼女は、本当にふたりいたのかもしれないな。
記憶が曖昧になってくる。
それは甘美な幻想だった。
ひとりしか存在しないはずの女の子が二人存在する。
そのような妄想に取り憑かれたら、それを補強する画像を創るのはさほど難しくない。
まず、AIに一人しか存在しない彼女の写真を参照させ、覚えこませる。
つぎに、「彼女が二人存在する」という主旨の命令文(promptという）を書く。
ベースになる「モデル」を指定し、LoRAという、学習の結果できた外皮を被せるとモニタにはふたり、ときに数人の彼女が出現するのである。
できてくる画像は、互いを求め合うふたりの彼女の画像ばかりだ。
いや、わたしがそういうふたりの彼女を見たいのだ。
唇を求める姿、そればかりを見てみたいと狂おしく思うばかりだ。
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しばらく前に、異国で知り合った女の子。
彼女は自分がふたり存在するのだという。
そのコトバに、想像が膨らむ。
ふたりは同棲してて、気がつくと「ひとつになりたい」とでも思っているかのようにからだを寄せ合うのだ。
彼女がふたりいる。
それを想像するのは楽しいことだし、彼女がふたりで一緒に過ごすシチュエーションを絵にしていくこともまあとても楽しいことだと思う。
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