偽双子|彼女と、別の彼女について。Part2
私はふたりいるときもある。
ひとりになるときもある。
昔、異国で知り合った女の子はそんなことを言った。
ふたりいるときもある。
彼女は、ふたりはどちらもわたしなのだと言った。
いや、何年も前の記憶だ。
ふたりいるときもある。
彼女は、ふたりはどちらもわたしなのだと言ったかもしれなかった。
彼女の写真は、ネットのどこか、アップロードして半ば忘れかけていた無料のクラウドストレージにアップロードしたものだった。
パスワードはすっかり忘れていたので、設定し直してログインした。
彼女がスマートフォンに送ってよこした写真が2枚ほどあった。
私はふたりいるときもある。
ひとりになるときもある。
これは何だ。
ほんとうに彼女はふたり存在したということなのか。
外国で働いた頃に知り合った女の子。
わたしは記憶を頼りにして、彼女の姿を再現してみようと思った。
そして、画像ができてきた。
画像には彼女がふたり、ときには3人出現した。
これは画像生成AIの「癖」のようなものらしい。
画像で余白の空間があると、同じ姿をした女の子を配置するようなのだ。
だからここに紹介するようなが画像ができてくる。
おもしろいので、その「癖」を使った画像をどんどん創った。
ところが、クラウドストレージに、彼女が二人仲良く写っている写真があったことに気づいた。
同一の彼女が二人。
どうみても彼女だ。ふたりともに彼女に見える。
わたしが彼女に会ったときは、彼女はひとりだった。
姉妹がいるとか、いないとかそういう話は聞いたことはなかった。
じゃあ、この写真は何なのか。
合成写真だろうか。
彼女は、画像加工や合成が得意で自分の写真を素材にして、自分が二人いる写真を創るのが好きだとか?
ソーシャルメディアに、自分の写真をいじったものを上げる女性は一定数いる。
彼女もそうだとしてもおかしくはない。
友人、カレのなかに写真加工が上手な人間がいるという可能性もある。
いや、しかし。
これが本当に撮られた写真で、その時、彼女が二人存在していたとしたら。
くだらない、とりとめのない想像を巡らせながら、「密着するふたりの彼女」を画にしようとない知恵を絞ってコトバを入力する。
それはpromptという。
そのコトバを元にしてAIは画を紡ぎ出していくのだ。
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ほんとうに彼女はふたりいたのか。
ひとりになったり、ふたりになったりするのか。
その答えはわからない。
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