偽双子|並行世界の滝沢乃南と滝沢乃南 4 自分が2人いる孤独について。
密やかな呼吸音を聴いている。
滝沢乃南はうたた寝する滝沢乃南の寝息に聞き耳を立てている。
自分の寝息を聴くなんて、なんかいいな。
こんな顔をして寝てるんだ、わたしって。
わたしは、わたしの寝息をしばらくの間聴いていた。
おはよー。
あ、おはよー。
寝顔がとても可愛かったよ。
え、なんか恥ずかしいよ。
ふたりは互いの息づかいを感じるほど身体を寄せ合う。
いつの間にかそれが癖になってしまった。
自分に寄り添いたい。
ふたりともそう思っているのだ。
顔を近づけて互いに見つめ合う。
家の中にいるときはそうしていることが多い。
たぶん、〈自分〉を確かめるためなんじゃないか。
とふたりのわたしは話し合ったことがある。
だって、自分の他に自分がいて、それを見ることができるのだから。
そうすると、自分を見ているこの自分は誰なんだろう、自分が見ている自分は誰なんだろう、などという疑問で頭がいっぱいになるのだ。
アメリカのドラマで、並行世界の自分と会ったおんなの人が、混乱して取っ組み合うという場面があったが、そういう気持ちにはならない。
見つめ合うのには勇気が必要だった。
だけど、何度か繰り返していくうちに慣れて見つめ合う時間も伸びていった。
わたしとわたしは、気がつくと抱き合ってたがいの存在を確かめ合った。
自分がふたり存在するということは、孤独なのじゃないか。
そんなことも語り合った。
だって、この世界に自分がふたり存在する人なんて、いないでしょ?いたとしたって、わたしたち、知ることもできないもの。
ソーシャルメディアに投稿して、「どなたか、自分がふたり存在するという人たちはいませんか」
そんなのに、まともに取り合う人なんていないと思う。
その意味で、わたしたちはふたり存在する孤独な人間なのだ。
だから、わたしたちはおたがいを守らなくてはいけないのだ。
もし、「もうひとりの自分」と一緒の人がいるとしても、2人はきっと孤独だ。
そんなことをいう人に、まともに取り合う者もいないだろう。
よくて、ふざけた双子だなと思われるだけだろう。
興味のある人、いませんか。
PC、タブレット、もしくはスマートフォンを持っている人であれば、自分で同一人物の写真(のにせもの)やイラストが作れるのでやってみると良いと思います。
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