紗綾 × 紗綾 | ふたりの紗綾の秘密と自己陶酔のクロニクル 6
ねえ、紗綾。
なあに、紗綾。
ふたりは互いに名前を呼んだ。
自撮りしましょ。
どっちがかわいいか、なんてね。
ふたりで山の中にある温泉宿に来た。
温泉で、自分と自分でなんとなく、だらだらと時間を過ごしたかったのだ。
だけど、そうならなかった。
なぜなら、旅のパートナーが〈自分〉だったからだ。
突然、自分はふたり存在することになった。
ややこしいことになりそうなので、ふたりして予定を消化することにした。
かねてより休暇で温泉へ行くことにしていた。
予約した温泉旅館に1人で泊まる予定がふたりになったが泊まれますか、と訊くと、ええ大丈夫ですよ、と差額を伝えてきた。
旅館の帳場で姉妹と名乗って、宿帳には一人を偽名にして記入してもらう。
わたしはわたしと、非常によく似た姉妹であると外面的には振る舞うことにした。
仲居さんに部屋に案内される。
和室の広い部屋で、二面が大きな窓に面している。
ではごゆっくりと。
部屋にはわたしはわたしだけ。
温泉に来たのだから、温泉に入りましょう。
そうね。
午後2時過ぎ、大露天風呂にいるのはわたしとわたしだけ。
わたしはわたしの、湯の中でゆらめく裸を見ている。
わたしはわたしをソトから見ている。
このわたしはわたしなのか。
そのわたしは、わたしなのか。
という、とてもややこしい問題が生まれたのだ。
だけど、それについて考えるのは後でいい。
ねえ。
何。
きれいだよ、紗綾。
するとわたしは驚いたような顔をした。
恥ずかしいよ・・・でもあなたもきれいだよ、紗綾。
わたしもわたしも、恥ずかしくなって視線を逸らした。
840ピクセル版。
露天風呂から上がると、食堂に行って食事をし、部屋に戻った。
部屋でわたしはわたしと一緒にいる。
売店で買ってきたビールで乾杯した。
わたしは遠慮がちにわたしを見る。
わたしもわたしを遠慮がちに見る。
あなたはわたしだよね。
そう思う。わたしはあなた。
話をしてきて、同じ記憶を共有していることがわかった。
2本目の缶を開けた。
気がつくとわたしとわたしは隣り合って座っている。
以下、1680ピクセル版。
酔ってちょっとだけ大胆になったわたしは、わたしに顔を近づけてみたり、腕を引っ張って床に倒れ込んでちょっと戯れあったりしてみた。
今回紹介した偽双子画像、創っててすごく楽しい思いをしました。
同じような画像を並べていますが、創ったときのサイズが違うので、個人的に比較するために載せています。
このサイトは、自分がどこにいても画像を閲覧するためのものだからです。
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