紗綾 × 紗綾 | ふたりの紗綾の秘密と自己陶酔のクロニクル 4
今、わたしはふたりになっている。
紗綾が紗綾と出会ったときの、最初の会話。
誰なんですか。
あなた。
え。
わたしはあなたよ。
じゃ、このわたしは。
あなたはわたし。
どっちもわたし?
どっちもわたし。
わたし、わたしと会ってるの。
そう、わたしとわたしが一緒にいるの。
なんで?
奇蹟が起こったんだと思う。
風呂に入ったあと、Tシャツを着た。
家の自分の部屋で机に向かって本を読んでいたら、軽く目が回るような感覚がしたので、ベッドにうつぶせに倒れ込んだ。
揺れ動くような感覚。
10分くらいそのままで過ごした。弱い地震が続いているような感覚。
左の腕に何かが触れる感触があった。
薄目をあけて見ると、女の子の背中が見える。
誰?
目の前の女の子の髪の長さは自分と同じくらいに見える。着ているTシャツは自分の着ているのと同じだ。
女の子が身を捩ってこっちを向く。
840ピクセル版。
ベッドの上で身を捩って、女の子はわたしの方に顔を向けた。
顔を見た。
わたし・・・
女の子はわたしの顔でこっくり頷いた。
わたしはわたしに体を寄せてきた。
抱きついてきた。思わずわたしも手を回して抱き合った。
10センチほどの距離でわたしの顔をしたわたしを見た。
間近で見るとほくろの位置とか子供の頃につくった傷跡とか、まったく同じ場所にある。
誰なんですか。
あなた。
・・・・
奇蹟が起きたんだと思う。
それから親を巻き込んで色々あって、わたしたちは双子姉妹だということにして旅行に出た。
以下、1680ピクセル版。
いちおう、自分たち、わたしがわたしを理解し合う旅なのだ。
「同じ人物がふたり存在する」
その理屈についてあれこれと考えている。
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