まひろです。
わたしには大切な恋人がいます。
自分です。
つまり、まひろです。

自分を愛する行為をしているうちに意識が消失して、気がついたらまひろは隣にいました。
隣にいるまひろも私と同じでうっすら汗をかいています。

まひろをしばらくの間、見つめていました。
まひろも私をじっと見つめていました。

こんにちは、まひろとまひろです。

私、どっちもまひろだということに慣れてないのが、この写真でわかる気がします。

横から自分を見て、目を合わせられない。

1時間くらい見つめ合ったあとで、まひろはまひろをチェックすることにした。

洗面台でふたりして並んで鏡の前に立って、細かく観察してみた。
髪の長さ、色、ほくろとか、メイクとか、コピーしたみたいだ。
スマートフォンで写真を撮って、写真を合成できるアプリで、まひろとまひろの顔を重ねてみた。
ほとんど完ぺきに重なった。
すごいね。
すごいね。

目で確かめあられる場所は比べてみた。
見えない場所は、スマートフォンで写真を撮って比べてみる。ほくろとか、できものの跡とか、同じ位置にある。

スマートフォンは?
電話番号が同じ。待受の画像も同じ。入っているアプリも同じ。LINEとか、アプリの通知も同時に告知の音がしてブルブルする。

ねえ、と顔を見ようとして、見ることができなかった。
なんだか、とても恥ずかしい気がするのだ。
鼓動も早くなってしまう。

なんだろう。

顔を見られなくて、横並びになるのだった。








この子を最初見たのが着衣のイメージビデオ。
グラビアアイドルかなと思ってた。