彼女(ら)は同一人物 12
わたしとわたしの「クローンアイドルユニット」。
写真集の撮影のしごとをしている。
わたしたちは〈交信〉ができる。
思考のながれを共有しあっている。
目に見えない〈線〉が。
で、〈共有〉のたびにうっすらとした快感を覚えるのだ。
見えない、〈こころ〉にさわると気持ちよくなるのだ。
休憩が終わって、撮影が再開された。
さあ、ふたりで顔を見合わせてみて。
と、カメラマンが言う。
顔を近づける。
びくん、という衝動。
あ、まずい。
キスしちゃうぞ。
してもいいけど、まずいよ。
なんか、ふたりいることが不思議なことだと改めてわかった。
で、そばにいる別な自分を見ているということも不思議だと思った。
自分をそっと見てみると、どきどきして来る。
背徳的な〈クローンアイドル〉。
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