彼女(ら)は同一人物 11
わたしとわたしの「クローンアイドルユニット」。
写真集の撮影のしごとをしている。
休憩時間。
撮った写真をPCで見せてもらう。
どっちがどっちなのか、わたしもわたしもわからないのだった。
わたしは、すごくヘンな気持ちになったな。
と、敏腕マネージャーが言った。
あなたたちがふたりしてポージングしたり笑顔をつくったりするのを見てると、女の子のタレント二人を使った撮影とはなんか違う感じがするの。
なんというか、ひとつだったものがふたつになってて、そのふたつのものがひとつになろうとしている、あなたたちの動く様子はそんな感じだった。
動きを通じて、会話をしてるというか、なんかの交信をしてるとか、そういうのも感じたな。
わたしとわたしは、顔を見合わせた。
さすがマネージャー、見抜いてる。
わたしたちは〈交信〉ができる。
思考のながれとか、次に何を言うのかとかがわかるのだ。
目に見えないような、いろんなものを共有している。
で、〈共有〉のたびにくすぐったいというか、うっすらとした快感を覚えるのだ。
シンクロして、一つになるかに見える、〈クローンアイドル〉。
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