偽双子|沙織、沙織と会う 15
沙織と沙織は、夜になってタカヤマ先生と会った居酒屋に行った。
タカヤマ先生はもう飲んでて顔が少し赤くなっていた。
「これはね、焼酎のウーロン茶割りだよ。焼酎はキンミヤ、うまいんだよね」
とニコニコしている。
「君らも何か注文したらいいよ」
沙織と沙織はビールと枝豆と焼き鳥の盛合せ10本とシーフードサラダを注文した。
「見てるよ」タカヤマ先生は小さな声で言った。
「とてもいい。君たちはとてもいいと思うよ」
「そうですか・・・と言っても変な気分」
片方の沙織が言った。
「どうして身体を要求しないんですか」
タカヤマ先生は黙って焼酎のウーロン茶割りを飲んだ。
「どうか、これから話すことで、私を〈キモチワルイ〉とか思わないでほしい」
君たちは、ぼくの観たかったものなんだ。
え、好みって、こういうお尻を見せるのとかかな。
沙織と沙織は〈意識〉がつながって場面を思い浮かべると共有できるのだ。
いくらなんでも、こんなのじゃないかな。
タカヤマ先生は静かに語りだす。
私は長い間、女性に興味が持てなかった。
いや、違うな、私は女性に性的な興味が持てなかった。きれいだな、かわいいなと思う
私は自分が異性に興味がないんじゃないかと思った。だからといって、同性に興味があるのでもなかったんだ。
話に聴き入る沙織と沙織は、焼酎のウーロン茶割りを飲み、レバー串、サラダを食べる。
動きが完全にシンクロしている。
それを向かい合って見ているタカヤマ先生は、うっと低く呻いた。
目が泳いでいて、うっすら汗をかいている。
あるとき、ぼくはテレビのドラマを見ていたんだ。夕方のアニメ再放送の時間だった。
少女の魔女が出てくる話だったと思う。
少女の魔女にはライバルがいて、その子は悪いことをする魔女だ。
少女の魔女には好きな男の子がいるが、少女の魔女はまだ自分の気持ちを告白していない。
悪い魔女は、少女の魔女に変身して男の子にデートに行こうと誘うんだ。
そこに、少女の魔女はやってくる。つまり、少女の魔女がふたり並んでる。
そのときに、ぼくはふたりの少女の魔女の場面に吸い付けられてしまったんだ。
ぼくは、ぼくのあれが、痛くなるくらい大きくなってることに気づいた。
ぼくは、「同じ姿かたちをした女の子が二人いる」という場面に性的な興奮を覚えるんだ。
「同じ姿かたちをした女の子が二人いる」という映像や写真でないと、いけない。
風俗のお店にも行ったけど、ぼくは役に立たなかった。
和式の部屋にヌードになった〈同一人物〉という画がすごく気に入ってけっこうな数創った。
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