森の奥で彼女は二人に分離していたよ。
どこかひと気もない山を歩いていると、少女がいた。
こんにちは、どこから来たんですか?
彼女はとても人懐こい口調で話しかけてきた。
東京からだよ、と返事すると彼女はにっこりと笑顔を返してきた。
いいなあ、東京。
東京がうらやましいの?行くのは簡単じゃないの。
それが、行くことができないの。
どうして?
彼女は返事しない。
おれの後ろを見つめて、ふふ、と笑った。
振り返ると、そこには目の前の女の子と全く同じ姿かたちをして同じ服を着た女の子が同じような笑顔を浮かべていた。
その子はおれの右をすり抜けるように歩いて。おれの前にいる彼女と並んだ。
全く見分けがつかない。
わたしたちは、作られたもの。人に知られるわけにはいかない。
だから、東京に行くことも許されない。
作られた?どういう意味だ。
人の複製として。
もっと詳しいことを聞きたくないですか。
とふたりは私の手を引く。
もう、帰れないかもしれない。
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