わたしとわたしの「クローンアイドルユニット」。
写真集の撮影。

カメラマンは、頭の中に浮かぶ物語を反芻しつつシャッターを切る。

ひとりでいつだって寂しかった女の子が、もうひとりの自分と出会う。

「自分が自分に出会うという不思議さ」が、そのひとりのふたりには確かにあった。
あるときは、ふたりいるなんて、どうしようという戸惑いが表情に見られた。

おとなしいんだね。
そうね、わたしはおとなしかったよ。
うん、わたしもおんなじ。おとなしくて、ちっちゃくて、目立たなくって。

あのね、あなたはわたしでしょ。
うん。
わたし、自分が相手でもなんかうまく話せるかどうか、自信がない。
わたしもだよ。でもね、きっとね、おたがいにびっくりしてるんだよ。今も。自分と会うひとなんていないでしょ。どうしていいかわからない。
ねえ。
なあに。
訊いていい?
いいよ。
自分を見て、どう思った。
最初はね、自分ってこう見えてるんだって、そう思った。
そうだね。
あと、話し声、自分の声ってこうなんだ、って。
あ、なんかかわいい声だって。

おたがいに目を合わせて、慌てて伏せた。

かわいいのかな。

うん、かわいいと思う。

カメラマンは、他愛もないおはなしを頭の中で繰り広げている。
なんか、妄想が沸き起こるような子なんだよな、しかもふたりいる。







やはり、背徳的な〈クローンアイドル〉。






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