彼女(ら)は同一人物 2
気がついたら、ベッドのなかに二人になっていた。
一瞬、同じタイミングで息を呑んだ。
「あ、自分だ」
ここにいるのは、私と私だ。
わたしとわたしは、コトバもなく〈了解〉した。たがいに〈わかった〉のだ。
思考が瞬時にシェアできるのだ。
ふたりになったという事実を、家でマネージャーに打ち明けた。
わたし(たち)は、芸能事務所に所属するタレントで、グラビアアイドルとか女優のしごととか、動画配信なんかもしている。
30分くらいしてやってきた彼女は、あ、と短く息を呑み込んだ。
マネージャーは高校生にしか見えないくらいの童顔の眼鏡っ娘なんだけど、ものすごく頭が良くて仕事ができるひとなのだ。
彼女はわたしとわたしにスマートフォンを向けて数枚写真を撮った。
次の瞬間、「わかりました、ちょっと時間をちょうだいね」と言って出ていった。
残されたわたしとわたしは、まず見つめ合った。
でも、保たない。
なんか恥ずかしくなったので、おたがいに身の上話をしてみた。
話してみると、同じ記憶を持っていること、忘れていることも同じだということはわかった。
じっさいは話してみることは不要で、思考が瞬時に理解できるだけではなくて、記憶も同じであることは知っていたけど、黙っているのが嫌というか、間が持たないと思ったのだ。
2時間後、眼鏡っ娘マネージャーが戻ってきた。
「お待たせしました。もろもろ解決しましたよ。ふたりとも、一緒にきてください」
「惹きつけられる」「魅力を感じる」というのは、美醜の問題ではないような気がする。
この子だと、目と表情と動きに惹きつけられた。
この子が二人になったら、どんなことするのだろうと妄想し、画にしてみた。
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