撮影会に参加していたカメラマンのなかに、権力者と仕事している者がいて、
同一人物であるふたりのミカは、戸籍上は双子の姉妹ということになった。
片方はユカという名を得た。
ふたりを双子姉妹に仕立てた男が、わたしに連絡をよこした。

あなたは、写真撮影というご趣味のほかに写真を加工する腕をお持ちのようですね。

かれはニコリと笑った。
自分には場違いに思えるような、高級ホテルのコーヒーショップで、わたしは男と向き合っている。

調べましたよ。
アイドルの写真を使って面白い写真を作って楽しんでおられる。

こいつはわかっているのだ。
わたしがアイドルやモデルの有料撮影会に参加してポートレート撮影を愛好し、写真共有サイトで作品発表をしているという表向きの趣味とは別に、撮った写真を素材にして加工を楽しんでいるのだ。
しかも内容はおもて立って言えない。
アイドルやモデルを裸にひん剥いたり、いやらしいポーズの他の女の子の写真と合成したりしているのだ。

もしや、著作権法や肖像権の問題で引っ張られるのだろうか。
あの、と言い訳しようと思ったら、声がかすれてしまってコトバが続かない。

男はにっこり笑って、その腕をお借りしたいんですよ、と言った。
あなたは素晴らしい技術をお持ちのようだ。








ふたりのミカの過去の歴史を作りたいのです。
あなたの写真加工技術をお借りして、二人が双子である証拠をできるだけたくさん創りたい。
手伝ってくれませんか。