透明な湯で、湯船の中で、別のわたしの白いからだがゆらゆらしていた。
別のわたしも、わたしの方に視線を向けていたので、同じように湯船の中でゆらゆらする体を見ていたのかもしれない。
「姉と妹だったら、一緒にお風呂に入るのって恥ずかしくないよね」
「たぶんね」
「わたしたちは、姉と妹みたいなもの?」
「さあ・・・社会的にはそのように言ったほうがいいのかもしれないけど」
「とても難しいおはなしだと思う」
「自分がいて、どう考えても自分としか思えないような存在が別にいるって誰も経験してなくって、わたしたちが今それを経験してるでしょ?誰にも答えが聞けないものね」
「あのね」
「うん」
「言葉で話してること、言葉発する前に内容がわかってるよね」
「うん、わかる」

実はわたしは別のわたしが何を言おうとしているのかが、伝わっている。脳のなかに〈意味〉が直接入ってくるのだ。
考えるという行為は別々に行っているが、脳は直結してて、〈意味〉が行ったり来たりするのだ。

だけど、声に出して言葉にしないことは不安を感じることなので、会話をしている。
そんな感じになっている。

「こんなふうに意味をやり取りできるのって、本来はわたしたちがひとつだからなんじゃないのかな」
「そうかも知れない。変な感じ。慣れないけど」
「慣れないよね」
「からだ洗う?洗ってあげるよ」

意味は伝わってくる。

恥ずかしいんだけれども、自分が自分のからだを洗うとかからだを洗いっこすると、どんな感じなのかはとても興味はある。

露天風呂から上がって、洗い場に行った。
二人して穴の開いた椅子に座った。
まず、わたしの髪をもうひとりの彼女の手が後ろから伸びてきて、櫛で優しく梳くようにして洗う。指の腹で頭皮を押したり、離したりするのがとても気持ちいい。
シャワーを流して、わたしの髪からシャンプーの泡を丹念に流してくれた。

「美容院の美容師さんのシャンプーってこんな感じ?」
「だと思う。上手だよね、ありがとう」
今度はもうひとりのわたしを座らせて、美容師のシャンプーのしかたを思い出しながら、わたしの髪を洗ってあげた。
「気持ちいいよ」
ともうひとりのわたしが笑ってくれた。

 

からだは・・・
タオルを部屋の中から持ってくるのを忘れてしまった。
もうひとりのわたしは手でボディーソープを取って、わたしのからだの上で滑らせる。
「あ」
「あ」
ビクン、とからだが動いた。

「自分で洗ったほうが」
「いいよね、これは」
危険な感じがして、わたしとわたしは自分でからだを洗い流すことにした。
へんなことになりそうだったのだ。

ツインベッドの部屋だけど、ひとつひとつのベッドはキングサイズ、ダブルベッドサイズだった。

どうするか。

もうわかっていた。

一緒に寝ようよ。

うん、寝よう。

手をつないだ。

動画を創ってみました。
スライドショーです。ぼんやり見てもらえたら幸いです。

GoogleDrive。

なんというか、胸のあたりにリアリティがあるというか、好きですね。
大きくなくても、かわいい胸でいいじゃないですか。



新しい、〈これは〉と思える子を見つけると、いっぱい創ってストックが溜まる一方。
この子もたくさん創ることになりそう。