偽双子|小島みなみと小島みなみと同一人物性愛 3
小島みなみ。
小島みなみ×小島みなみ。
言葉をなくす、という言葉はこういうときに使うのかと思った。
小島みなみの前には小島みなみがいた。
一瞬、めまいを感じて目を閉じる。
収まると、目の前に誰かがいる。
誰かと思ったが、すぐわかった。
自分だ。
思ったのは〈夢を見ているのではないか〉ということだった。
開け放った窓の外、遠く救急車のサイレンが聞こえてくる。
夢ではないようだ。
とすると狂ったのだろうか。
狂った?
狂った人は狂ったということがわかるんだろうか。
自分が狂ったのかもと疑う者は狂ってないはずだ。
「いま、じぶんは狂ったと思ったでしょ」
目の前の自分が言う。
「思ったよ」
と答えた。
同じことを同時に考えているようだ。
「現実かどうか、確かめてみようか」
みなみはみなみにからだを寄せてきた。
「おたがいの鼓動で確かめてみるのはどう?」
自分がとつぜん二人になるというシチュエーション、悪夢なのだが、甘美なものになるかもしれない。
甘美な悪夢の偽双子画像を創れたらいいのにな、と思うばかり。
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