そこは廃工場で、彼女はときどきそこに行った。
幽霊を見たとかいう者もいるが、彼女はそんなの信じない。
そこは暗くて静かで、考えごとをしたり、気分がくしゃくしゃしているときに落ち着くのにいいのだ。

ところがそこで、彼女は、彼女に出会ったのだ。
よく見てみる。
どう見ても、自分にしか見えない。ホクロの位置とか、ちょっとした傷跡とか、まるで同じ

家に帰るでしょ。
帰るよ。
どうしよう。
家族がびっくりするよね、たぶん。
すると思う。とくにパパ。
うん。
でもどっちもわたしだし、家に帰るしかないものね。








 

自分がふたりがいる状況なので、笑ってない。
でもそれが魅力的だ。