分身モデル撮影会 13
わたしは、ふたりのミカの過去の歴史を捏造する作業に夢中になった。
驚いたことに政府機関の依頼だ。
政府機関は、ふたりのミカを保護し、おそらくは何らかの意図で軟禁状態において観察して研究していると思われる。
たとえば、とちらかのミカが平行宇宙から移ってきたのではないか、などと考えれば政府機関はとうぜん、研究に夢中に取り組むだろう。
だけど、それを詮索するのは危険なことだ。
変わったオファーである。
しかし、
わたしは引き受けることにした。面白そうだったし、提示された作業の金額がかなり良かったし、なによりもわたしの写真加工の腕を褒められたのだ。
褒められていやな気持はしない。
私が今やるべきなのは、ユカ/ミカがこれまでに過ごした(ニセモノの)日々を創るという作業だ。
ユカをふたりにして、双子モデルに仕立てていく。
大抵の場合、ふたりはおとなしい。
二人きりだと明るくはしゃぐ。
そんな感じの「姉妹」なのだが、私は、一人の少女が分かれて二人姉妹として振る舞う様子に倒錯を覚える。
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