休憩時間、集まったカメラマンのなかでいちばん年齢が高い男が二人のミカに訊いた。
君たちは、撮影会終わったらどうするの。行く場所はあるの。

ふたりのミカは、お互いの顔を見合わせた。

年齢の高い男(おそらく60近い)は、言った。
周りの人も、君がふたりになったら驚くでしょう。

その男の意図はミエミエだった。
一人はワタシのところに来たらいい、助けてあげるよ。

たぶん、そう言いたいのだ。
同じ人間が二人、同時の存在することはありえない。混乱をきたすから、匿ってやろう。
そういうキレイゴトを言うつもりだろう。
その実、自分の家で良くないことをあれこれやろうと、そういう魂胆なんだろう。
なにせ社会的には〈存在しない人間〉なわけだから、エロ漫画にありがちな美少女監禁でいやらしいことをやろうとしてるのだ、きっと。

わたしたち、親にキチンといいます。
と一人のミカが言った。
理解力がある親なので、大丈夫です。
ともうひとりのミカが続けた。

あのう、と目立たない顔つきの銀縁眼鏡の若い男がふたりのミカに近づいた。
ふたりに名刺を渡して、困ったときには連絡してください、と言った。

二人のミカの顔色がさっと変わり、全くおなじ驚愕の表情を作った。

年長の男が、どうしたの、と言って名刺を覗き込んだ。








動きも表情もシンクロする二人のミカの、一瞬の違うアクションをする瞬間を狙ってみる。



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