「変だと思わない?」
「とても変だと思う」

もともとはリゾートホテルの2階のカフェだった場所に、女の子がふたりいる。
ふたりは紅茶を飲み、モンブランケーキを食べながら話している。

「そうね」
「わたしたち、違いがない」

ふたりは、全く同じ姿をしていて、同じ声で話している。

ふたりの同じ顔をした少女は、そこで世話係の女性ふたりと一緒に生活している。
しかし、ふたりは建物の敷地の外から出ることを禁じられている。

ふたりは軟禁されているのだ。
彼女たちは観察対象なのだ。

そこを観察者たちは〈籠〉と呼んだ。
かつてリゾートホテルとして作られ、のちに国家機関に買い取られて、国家機密に関わる秘密のタスクのために

そこはかつては栄えた温泉リゾートの奥まった場所にある。
そこいらじゅうの建物の門には、「売出中」という札がかけられている。
電柱や木にはカムフラージュされた監視カメラが設置されていて、侵入者を見張っている。
途中の道は、水害で流されて数メートルに渡って陥没し、封鎖されている。
そこを突破しても、どこからか監視者が現れ、行く手を阻む。

彼女たちは重大な秘密を持っているのだ。