なんというかな。
ヒマつぶしで街を歩き回るのが好きなのだ。

街を歩いている。とくに目的はない。iPodで撮りためたラジオ番組なんかを聴きながら無目的に歩きまわる。
長い時間歩いていれば、けっこうな数の人間とすれ違う。

多くは数秒後にはすれ違ったことも忘れてしまうような、ごく目立たない外観の男女。
ゆっくりと歩く、ときにカートを押しながら移動する老いたひとたち。
親子連れ。
にぎやかに騒ぎながら移動する女子中学生や高校生たち。
人々を見ながら、美人が歩いてこないかな、などとぼんやりと思う。ヒマなので、そういうことばかり考えたりする。

何人もの人とすれ違って、空腹を覚えて飯屋に入って帰るとか、足が疲れてもう歩けないのでバスに乗って帰るとか、そうしてヒマつぶしが終わる。

しかし、何十回に1度くらいの確率でぼんやりした妄想が叶うことがあるのだ。

心臓が止まりそうになるくらい美しい女性とすれ違うことがある。
すれ違って振り向くや、こんな美しい人がいるのだろうか、と思考が停止し歩く足も停止して呆然と見送るのみだ。

もちろん、「美しい」ということの基準は、個人個人で異なる。
だから、私が「美しい」と思うひとは、あなたにとってはそうではないかもしれない。

私は、このひとは美しいと思う。
美しいとは、そのひとが纏う空気であり、放射する何かではないかと思う。
とすると、このひとの纏う空気、とても美しいものだと思う。

偽双子以外にも、好きなヴィジュアルはもちろんある。
<美しい>とか<かわいい>はやはり好きだ。