偽双子｜まひろとまひろの恋人たちの時間 8 感覚交感

好きだよ。
私も好きだよ。

お互いに言ってみた。

顔が熱くなった。
なんだか、恥ずかしい。
照れてしまって、まひろはまひろと顔を合わせることができなくなっちゃった。

もう一方の自分が恥ずかしそうな顔をしてて、ああ、私も同じような顔をしているんだろうなと思う。
恥ずかしそうな顔がかわいい。
ということは、私の顔もかわいいんだ。きっと。

だけど、からだを近づけてみる。

おそるおそる、じぶんに遠慮して。

ねえ。
なあに。
どきどきするね。
そうだね、どきどきするね。自分にどきどきってなんか変だけど。
なんでどきどきするんだろうね。
うれしいから？
あー、そうかもしれない。自分と一緒で。
その自分って、かわいくて。
かわいい？
うん、かわいい。

なんか、変な気分になってきて、顔を合わせることができない。
なんか、恋愛初心者のふるまいみたいだ。

大胆になれるのは２人でいるからです。