このふたりは〈嘘〉をまとっている。
存在自体が〈嘘〉だと思えた。

インスタグラムに投稿されている自撮りの写真にはひとり、かわいらしい顔して写っていて、発作的にコンタクトを取りたくなった。
モデルになってほしい、お礼は出すよとメッセージを送ったら翌日にいいですよ、という返事が来た。

撮影のために予約したハウススタジオには、その女の子がふたり来た。
双子なのかと訊いても、そうかもしれないしそうでないのかもしれない、とか、わたしはふたりでひとり、ひとりでふたりなのとか言う。
一人称が単数形だというのが気になる。

なにものなんだろう。












この2人が同じ人間だとする。

同じ人間だとすると、どうしてふたりの、全く同じ人間が出現したんだろうか。
そういうことがあるんだろうか。
おれの前に現れたことに何か意味はあるんだろうか。
いや、そんなものなどあるはずがない。

双子かもしれないじゃないか。双子が冗談でおれを馬鹿にして遊んでるんだ。

ふたりは透けた水着も邪魔になったのか、脱いでしまって、裸になって楽しく遊んでいる。
ふたりはタイミングをずらしながら、何か誘うような視線を向けてくる。
おれはひたすらシャッターを切った。途中からは4K動画の撮影に切り替えた。

聞いていると、ふたりはお互いをファーストネームで呼び合っている。
だが、そのファーストネームときたら、同じ名前なのだ。
それで区別ができているんだろうか。












この一連の画像は表情を追いながら楽しく創った。
動画から取り出した静止画を素材にしていくと、表情や動作の微妙な変化をうまく反映させたくて仕方なくなる。