クラスの美少女が気になって、ああ、彼女がふたりになったら、どんなふうだろう。
そういう妄想に悶々とした気持ちになった日々があったな、と思う。

美少女って、遠い存在でじぶんの世界とは離れたところにいるものだと思っていて、その離れたセカイで彼女はふたりになって遊んでいる・・・というような場面を想像していた。

たとえば、こういう。

市民公園の奥まったところにある鬱蒼とした竹林。
その竹林は、変なことが起こると噂になっているいわくつきの場所だ。
たけのこを掘りに行った爺さんが忽然と消えた。
からだが光る男の子が歩いていた。
あの場所の地下深くにはUFOが埋まっていて、そのエネルギーがなにかを引き起こす。
いろんな噂がある。

彼女は、なにかおもしろそうなので、竹林に行ってみた。
思った以上に広くて、ほかに人がいなくて、ちょっと怖い気がした。

なんでだれもいないんだろう。夏休みなのに。
「そうだね、ふしぎだね」
声がした。
振り向くと、彼女がいた。

え?
誰?
あなたこそ誰?

え、もしかしてあなたって私なの?
なあんだ。わたしなのね。

ちょっと楽しくなって、好きなあいつのことを話題にして盛り上がった。

でも、ふたりは困ったことになった、と思った。
家に帰ったら、家族は驚くだろう。
ふたりで家に帰っても大丈夫なんだろうか?










ショートボブの美少女は、ほんとうに美少女。
ちょっと古風な美少女。
そんな美少女が、ふたりいるというのはなんと美しいんだろう。