自分が自分と寝るか。
つまりセックスをするのかどうか。

ある日、目を覚ましたらベッドの中には自分が二人いた。
最初は驚いて、ふたりは大声を上げた。
だけど、どっちも自分で、敵でもわけのわからない存在でもない。
そう気づいて落ち着いたのだった。

ベッドは一つしかなかったのでふたりで寝たが、なんの問題もない。
快適に眠れた。
眠る前、体が触れ合うと、なんだかくすぐったいような、ちょっと気持ちが良くなる気がした。

お風呂も二人で入った。
おたがいのからだを洗ったり、ふたりしてバスタブに無理に入ってみたりした。
狭いバスタブの中だから、肌が接触する。
すると、なんかくすぐったいような、気持ちが良くなる感覚が強く起った。
楽しさはあったが、〈いやらしい〉気分になるということはとくにない。
だけど、このままだったらどんどん気持ち良くなるかもしれないねと、ふたつの肉体はとろりとした目で見つめあったりした。

そう、ふたつのからだで、もっと気持ち良くなりたいという、そんな気分になるのかもしれない。

自分が自分と寝る。
つまりセックスをするという気持ちになるかも。

撮影は続く。

同じデザインの胸の大きく空いた服に着替えた。
もっとカラダをくっつけて笑ってみてね。

カメラマンがそう指示した。

乳房の柔らかい感触をたがいに感じていた。