彼女(ら)は同一人物 8
かつてはロックシンガーで鳴らしていまでは忍び寄る肥満と薄毛の恐怖に怯える芸能社長の(バカっぽい)命令によってわたしとわたしは「クローンアイドルデュオ」もしくは「クローンアイドルユニット」になった。
帰りのクルマのなかで、わたしはわたしの手を強く握ってた。バックミラーに戸惑った同じ顔がふたつ。
マンションに戻る。
鏡張りのエレベーターにはわたしとわたしが無数に写る。
家に帰って、しばらくの間、ベッドに転がる。
何もコトバを発さないで、わたしはわたしとギュッとからだを合わせている。
わたしはわたしのからだをぎゅっとしてると安心する。
大丈夫かな、あたしたち。
きっと大丈夫だよ。
ということで、クローンアイドル。
とうぜん、「双子と何が違うの?」という疑問はあるだろう。
容姿がパーフェクトに同じなのがクローンアイドルだよ。あたりまえだよ。
・・・まあ、妄想なんだけどさ。
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