彼女(ら)は同一人物 7
かつてはロックシンガーで鳴らしていまでは忍び寄る肥満と薄毛の恐怖に怯える芸能社長。
「クローンアイドルデュオですか」
マネージャーは大きな声でオウム返しに言った。
「そうだよ、お前らは、今日からクローンアイドルデュオ」
「なんでですか」
「まずは仕事をしてもらうということ」社長が満面の笑みを浮かべた。「どっかの星から来たとか、どっかの国の王様の令嬢とか大企業の創業者一族出身とかいろいろいるんだからクローンもいいだろうよ。仕事増えるぞ。仮面ライダーとか戦隊モノのオファーとかあるぞ」
「承知しました。プレスリリースとSNSの仕込みをします」と、マネージャーが元気な声を上げた。
わたしはわたしの手を探って握った。
指を絡めあった。
で、クローンアイドルデュオの仕事が始まったのだ。
同一人物のとても楽しそうなグラビア(のフェイク)。
表情がころころ変化するので、表情を追ってどんどん創ってしまう。
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