紗綾が紗綾と同居生活をしていて、代わりばんこに仕事に出ていく。
だけど、周囲の人はだれも気づかない。







紗綾と紗綾は、ふたりになって過ごしてきた日々を笑い、語りあう。
10年以上、ふたりで楽しく過ごしてきた。

驚いたのは、写真集の撮影である日とその次の日で紗綾は入れ替わったのに、誰もそれに気づかないのだ。
マネージャーでさえも。

紗綾と紗綾は、〈ひとりに見せかける〉ために時間を費やしてきた。
〈ひとりに見せかける〉ということがすごくおもしろい。

それだけではない。
紗綾と紗綾は、一緒に暮らすうちに、〈外部化して、見ることのできる自分〉がとても好きになったのだ。好きはやがて恋焦がれるようなキモチへと変わってキスしたりからだを求め合ったり愛撫したり指を入れたり吸ったり舐めたりした。
スマートフォンで互いのからだのあちこちを撮影して比べてみたりもした。

一緒の存在になりたい、と紗綾と紗綾は強く思うようになった。

だから、外見や体重や体調や気分や思考が同じであるように努力した。
同じものを同じ量食べて、同じものを同じ量飲む。
うんと遠くの美容院に行って、同じ長さに切ってもらう。

どうかな。
同じ。
太るのもいっしょね。

紗綾×紗綾。
4K動画から静止画を切り出すと、さすがに高画質。
今後、何枚か創っていきたい。