沙織と沙織は、夜になってタカヤマ先生と会った居酒屋に行った。

タカヤマ先生はもう飲んでて顔が少し赤くなっていた。
「これはね、焼酎のウーロン茶割りだよ。焼酎はキンミヤ、うまいんだよね」
とニコニコしている。
「君らも何か注文したらいいよ」
沙織と沙織はビールと枝豆と焼き鳥の盛合せ10本とシーフードサラダを注文した。

「見てるよ」タカヤマ先生は小さな声で言った。
「とてもいい。君たちはとてもいいと思うよ」
「そうですか・・・と言っても変な気分」
片方の沙織が言った。
「どうして身体を要求しないんですか」

タカヤマ先生は黙って焼酎のウーロン茶割りを飲んだ。
「どうか、これから話すことで、私を〈キモチワルイ〉とか思わないでほしい」

君たちは、ぼくの観たかったものなんだ。

え、好みって、こういうお尻を見せるのとかかな。
沙織と沙織は〈意識〉がつながって場面を思い浮かべると共有できるのだ。
いくらなんでも、こんなのじゃないかな。



タカヤマ先生は静かに語りだす。
私は長い間、女性に興味が持てなかった。
いや、違うな、私は女性に性的な興味が持てなかった。きれいだな、かわいいなと思う
私は自分が異性に興味がないんじゃないかと思った。だからといって、同性に興味があるのでもなかったんだ。

話に聴き入る沙織と沙織は、焼酎のウーロン茶割りを飲み、レバー串、サラダを食べる。
動きが完全にシンクロしている。

それを向かい合って見ているタカヤマ先生は、うっと低く呻いた。
目が泳いでいて、うっすら汗をかいている。

あるとき、ぼくはテレビのドラマを見ていたんだ。夕方のアニメ再放送の時間だった。
少女の魔女が出てくる話だったと思う。
少女の魔女にはライバルがいて、その子は悪いことをする魔女だ。
少女の魔女には好きな男の子がいるが、少女の魔女はまだ自分の気持ちを告白していない。
悪い魔女は、少女の魔女に変身して男の子にデートに行こうと誘うんだ。
そこに、少女の魔女はやってくる。つまり、少女の魔女がふたり並んでる。
そのときに、ぼくはふたりの少女の魔女の場面に吸い付けられてしまったんだ。
ぼくは、ぼくのあれが、痛くなるくらい大きくなってることに気づいた。

ぼくは、「同じ姿かたちをした女の子が二人いる」という場面に性的な興奮を覚えるんだ。
「同じ姿かたちをした女の子が二人いる」という映像や写真でないと、いけない。

風俗のお店にも行ったけど、ぼくは役に立たなかった。



和式の部屋にヌードになった〈同一人物〉という画がすごく気に入ってけっこうな数創った。