あるAV女優が自分と出会った。

朝、シャワーを浴びてからリビングに入ったら、同じくシャワーを浴びたすぐあとらしくて髪が濡れたままの女がいて、電動コーヒーミルに珈琲豆を投入している。
ちょっとの沈黙があった。
あとからリビングに入ったほうはその女を見て、この子は見たことがあるな、と思った。
自分だ。
自分がいて、目の前に立ってる。
鏡を見ているような?いや、ちがうな。
アレは左右反転してるけど、してない。

あのね、珈琲豆、ふたりぶん挽くけど、いいよね。
と、その自分は言った。

その言い方がすごくかわいかったから、近寄ってハグした。
すると、あ、と片方の自分は短く声を出してから顔を向けてきた。
顔が近づいてきて、キスしてきた。

しばらくキスしてた。

その日、写真の撮影の仕事があったので、自分ふたりして出かけた。
撮影場所のハウススタジオにマネージャーとカメラマンがいて、(当然のことだけど)無言になった。
マネージャーは、「上に相談します」と言って、事務所の社長に電話した。

オーケーが出ました。撮影しましょう。

ということで、撮影することになった。

自分は自分とエロい辛味なんかの写真を撮ってもらってるうちに、へんな気分になってきた。
もうひとりのほうも、なんか妙に潤んでいる目でこっちを見てる。

家のベッドを思い浮かべた。








女性がじぶんの同一人物と遭遇したということをビジュアライズした場合には、原則としてセクシャルなシチュエーションを想起しますね。