ひとりの女の子。
だけど、ふたつ肉体があって別々に行動もできる。だけどつながっている。
〈並列分散リンク〉している稀有な存在。
小池里奈と小池里奈。

いま、小池里奈と小池里奈は寝ている。
いっしょにベッドに入っている。

寝るのが好きだ。
しかも、自分好きな自分にはとてもうれいことに、し自分と一緒にいて、何をするでもなくぼんやりとしたり、寝てみたりする。
もちろん、からだはくっつけ合っている。
気付かれないように顔を盗み見しようと、もう片方にこっそり顔を向けるともう片方も同じ動作でこっちを見ている。
笑顔をつくると、もう片方も笑顔。

リンクしてるので、動きも同期してしまうのだ。
思考もつながっているのかもしれない。

寝ながら肌と肌をくっつけたり離したりしているうちに、なんか〈ヘンな〉気持ちになってくる。
肌をくっつけるとそこがくすぐったいような、爽快感があるような、なんか気持ち良い感じが拡がってすぐに消えるのだ。

くっつける。
ああ、と声を出してしまう。
離して、くっつける。
ああ。
くっつける。
離す。

気持ち良い感じがカラダに拡がっていく。
気持ちよさの波紋だ。

里奈は表情が〈なにかガマンできない〉に変わっていくのを感じている。
もう片方も同じ表情だ。

いけない。
いけない。




同性愛者・小池里奈ふたりのおはなし。