その昔、「マルチメディア」などという言葉があった。

あ、今でもあるか。

Windows95というGUIで操作するOSが出て、パソコンがバカ売れし始めた頃、「ニューメディア」という言葉に代わるようにして「マルチメディア」という言葉が盛んに使われ始めた。
パソコン上で3万2千色/1670万色が出せるようになり、CPUの性能も向上したので写真やムービーが見られるようになった。
パソコンはマルチメディアを扱えるツールとしてもてはやされた。
それで、「マルチメディア」としてCD-ROMがたくさん出た。その頃のインターネットは通信速度がとても遅く、ウェブブラウザではせいぜい小さな写真を表示できるていどだった。
マルチメディアCD-ROMにはアイドルやAV女優の写真やムービーを収めたものがたくさんあった。というよりほとんどそればかりだった。
その頃、パソコンのホームユーザーはほとんどが男性だったわけで、そういう人たちに確実に売れるのはエロ的なものなのは当然のこと。



マルチメディアCD-ROMには何種類もフォーマットがあった。
そんな中に、コダック社が出していた「フォトCD」というものがあった。 1枚のCDに約100枚くらいの画像が入っている。画像はコダック独自方式でデジタル化されている。
OSに依存していないので、ソフトウェアさえ対応していれば、フォトCD再生機、ゲーム機、パソコンなど様々な機器で画像を見ることができた。
また、フォトCDは追記式のタイプもあって、銀塩フィルムとフォトCDを持ち込むと写真をデジタル化して書き込んでくれるサービスがあった。 あの頃、コダック社はフォトCDで大攻勢をかけていて、本屋やPCソフトを扱うショップには「フォトCD写真集」が色々と並んでいた。
マジメな写真集もあったけれども、大半はアイドルや女優の写真集だった。
パソコンで見ると、スライドショーが再生できたり、1枚1枚切り替えながら鑑賞したりできた。
インターネットの通信速度が上がった結果、高画質画像が手に入るメディアの必要性が喪失した。「フォトCD写真集」もマルチメディアCD-ROMもあっという間に消えてしまった。

そんなどうでもいいことを思いつつ、昔のフォトCDを引っ張り出してきて、中からJPEG画像を取り出して、偽双子づくりをしてみた。

原千晶の偽双子。