偽双子|マリエとマリエ Part6
わたしは、わたしなのか。
もうひとりのほうのわたしもわたしなのか。
わたしとあなたではないのか。
ユリエの言いたいことは難しく感じられる。
しかし、なんとなく、〈自我〉について書いてるのだな、というのがわかる。
自分という存在はいったい何なんだろう。
そんなことに悩んでいるのかもしれない。
会って、答えを直接聴きたいんだけど。
LINEでメッセージをマリエに送ってみた。
返答が来た。
いいよ、会いましょう。
会う場所はマリエの家ということになった。
私はマリエお気に入りのケーキを買って、彼女の家に向かった。
マンションのエントランスでセキュリティ解除してもらうとき、マリエの後ろで女の子の笑い声が聞こえた。
エレベーターを降りて、彼女の家の前で、ドアホンのぼたんをに指をかける。
ドキドキしていた。
もし、マリエが二人いたとしたら?
いや、マリエは一人で、一人で二人分の会話を目の前でしたとしたら。
マリエの頭のなかにしか〈もうひとりのマリエ〉はいなくて、マリエは一人で二人分の振る舞いをするのだ。
そういうのだとしたら、怖い。すごく怖い。
玄関扉が開いて、マリエが笑顔を見せて、こんにちは、久しぶりよねと私に向かって言った。
入ってよ。
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