ずいぶん前に創った、ふたりの相武紗季だ。
まだ、芸能界に入る前の相武紗季は、平凡な暮らしを取るのか、母に倣って芸能界に入るか、悩んでいた。

悩みに悩んでいたある夜のこと、相武紗季はふたりに分かれた。
驚いたふたりの相武紗季は親の部屋に駆け込んだ。
父親も母親も最初は、たいそう驚いた様子だったが、ひと呼吸置いて、父親は言った。

これは、神さまのくれた贈り物だよ。
神さまは、悩んでいる紗季にカラダをふたつくれたんだよ、きっと。

お母さんが続けていった。

紗季ちゃんは学生生活も芸能生活も送れるのよ。

相武紗季と相武紗季は顔を見合わせ、頷いて言った。
「じゃんけんで決めましょう」

というわけでもうひとりの相武紗季は平凡な暮らしを送ることになった。